3/6

昨日親と電話した。ここ3年くらいは、よく電話するようになった。正直、実家にいた時よりもちゃんと話すようになったんじゃないかとも思う。

親は癌で、電話するたびに症状が変化しているようでもあった。優しく話すその声は昔と変わらないのに、きっと彼女の今の姿は想像もできないほど昔と変わっているのだろうと思う。副作用のきつい治療を続けているが、腫瘍は転移し、肥大するばかりらしい。聞くのも苦しい。辛いだろう。希望なんて持つにも持てないだろう、私にできることなんてあるのだろうか。今は薬の影響でご飯もほとんど食べられないらしい。なんかさ、いろんな話聞くと、そういうの覚悟しておかなきゃいけない気がしてくるよ。全然会えないままさ、そういうの意味わかんないよ。

少しわがまま言うけどさ。私の両親はさ、結局今までの何もかも許されたと思って、いつか私の元からいなくなっていくんだよ。私は親の経済的な支援に本当に感謝している。とても真似できない。でも、昔受けたことは何も忘れないままだし、何も腑に落ちてないよ。愛されないまま、結局親の愛がないままあんたらは消えていくんだよ。私の心は欠けたままで、穴を埋められないままで。未練残したまま。私ももう大人だからどうだっていいんだけどさ、愛されたという記憶と、実感が欲しかった。居場所のないまま実家で暮らしていた日々がどんなに辛かったか、そんなこと嘆いても何も返ってこないけどさ。まあ、どこの家庭にもあるような話なのかもしれないけどさ。

私が年上の異性に執着して関係を求め続けているのも、結局親の代わりになる関係の人がほしいだけだったんだ。安心できる場所がほしいだけだった。自分には思い出の中にも、どこにもないから。自分が自分のままでいていい場所、私のままを受け入れてくれる場所なんて。

それで結局、他人には都合のいい自分で振舞って、自然と嫌われないように振舞って、本当の自分自身は知らない間にどっかにいなくなっちゃって、探しても見つからないまま今が過ぎていて。

都合いいから表面上は人に好かれて。薬飲んでるから人に優しくできてるだけなのに、「優しい人」みたいに思われて。友達なんかいなくて。秀でていることもなくて。また今日も泣いてるし、馬鹿みたい、ってか馬鹿。